巨人の肩の上に立つ
何かを創作するとき、どんなものを作るにしても、私たちは自分が過去にみてきたもの、とりわけ気に入っているものを使用します。それを集め、自分が漠然と表現したいものになるように構成し、複数の要素が歪み合わないようそれぞれをリサーチし、共通項や接点を見つけ、組み立てるような感覚です。 そうした創作物を友人に見せたり、服であれば 実際に着てもらったり、食事であれば一緒に食べることもできます。それによって生まれる喜びや議論は、単に好きな 映画や音楽やファッションやレストランをそのまま共有するよりも、より立体的で、想像のあふれる豊かな体験だと考えています。
日本では、和歌の本歌取りのように、よく知られている名作の一部を引用し新たな作品を作るということがなされてきました。これは日本に限らず、現代でもサンプリングやオマージュという言葉で様々な作品で使用されています。 巨人の肩の上に乗り、研究を深めることで、段々と自分が作りたい物のアウトラインが見えてきます。 ただ過去をなぞるのではなく、そこからある種の新しさを見出せたとき、それを通じて人々が結びつき、心に残るのだと考えています。