Post apocalypse


私は、今年2月にロンドンで展示会をした際にブライトンのビーチへ撮影に行きました。閑散とした浜辺には、火災で骨組みだけが残った遊園地がありました。

その世紀末的な光景から、2年前の1月に訪れた沖縄の海を思い出しました。鮮やかな青と明るい夏のムードとは裏腹に、モノトーンで静かな景色が印象的でした。今ではリゾート地として人々が賑やかに過ごしている場所で、昔戦争があったと考えると、その土地が持つ二面性が際立って感じられました。
世界では、コロナが収束したかと思うと戦争がおこり、人々は大きな社会不安と共に生きています。私が目にした景色は、そのような心理と重なった情景描写のように思えました。

そこで今回のコレクションでは、この世紀末的なムードを生き抜く闘士の姿を表現しようと試みました。
クリエイションは、デザイン画の全体をモノトーンで構成し、風化した大地や海辺のテクスチャーを想起させるマテリアルを製作するとことから始まりました。世紀末的な世界観の映画に登場する衣装やキャラクターをイメージし、製作した素材を近未来的なユニフォームや防護服の形に落とし込み、荒廃した未来の世界を生き抜く人々を表現しました。

Material Guide

バイカージャケットに用いられているレザーは、丘染めしたゴートレザーを用い、縫製後にデストロイ加工を施しています。

レザーベストや、ショーツ、パーカーのフード部分に切り替えで使用しているパテントレザーは、通常のエナメル加工とは異なり、天然樹脂を液体のままラムレザーの表面に浸透させてコーティングを施しています。これにより、レザー本来の表面の質感や、柔らかさを残すことができます。

パンツ、ラップスカートに使用しているテキスタイルは、スイスにあるStotz社のブランド、VENTILE®️のものです。このテキスタイルは、超長綿が高密度に織り込まれたL24という比較的薄い生地をリップストップ仕様にすることで、軽さと耐久性を兼ね備えた仕上がりを実現しています。

ガウン、ホッケージャージ、ポロシャツに使用しているニット生地は、擬麻加工と呼ばれる、コンニャク樹脂をコーティングした綿糸と、紙糸を使用しドライな風合いを生み出しています。複数の編組織をランダムに組み合わせて砂浜や海のテクスチャを表現し、生地に立体感をもたらしています。

ポロシャツ、ジップカーディガンに使用してるニット生地は、強く撚った極細のヴィスコース糸を使用することで、ドライで整然とした風合いを作っています。

トラックジャケット、パンツに使用しているメリヤス生地は、綿糸を使用し、オリジナルのヘリンボーン柄に編み上げています。