私が作るものは衣服であり、彼が捉えるものは時間や空間です。ファッションと写真は商業的に密接な関わりがありますが、今回の撮影では、彼と私が表現したいことが交わる部分を手探りで探すような感覚で撮影に臨みました。
海を見渡す高台から浜辺にかけて点在する洋館群、入りくんだ地形と高低差が生み出す線形的な自然光のコントラスト、一見日本の原風景と思えるようなランドスケープは、空想のような絵を生み出します。
海、道路、建物、植物が急勾配な地形により独特なリズムで景色として現れ、日常的な風景にどこか心地よい違和感を感じます。
彼が捉えた写真は町や人物が持つ力強さを表現する一方で、それは=かつて=あったという生々しくも儚いモーメントを映し出しています。
私たちが再会し、また何かを探すときに、この写真が持つ奥行きと余韻がその道標になる日を楽しみにしています。